令和六年一月十二日 稽古

第2クール九回目,都合十九回目

この日を含めて初心者講習は残り二回。

ここ数回は,二人ともさしたる劇的な成長もなく,あいも変わらず一挙手一投足注意されつつも,皆さんのペースを壊すことなく的前での練習を続けてきたが,ここに来て妻にまさかの逆風。

先生はいつものようにお二人。
通常はお一人が的前を,もうお一人は未だ的前に立てない初心者に巻藁などで指導というかたちが多い。

この日の生徒数はやや少なめの八名で,全員が的前での練習。

というわけで,いつもは巻藁での指導が多い,つまり初心者を見ているKM先生も,的前の指導の補助についてくれた。

入りたての頃から,絶対的に体力・体格が劣る妻に対して熱心に指導していただき,何とか的前に立たせていただいたが,巻藁で教わった全てを完璧に会得したわけでは無い。

久々に妻の射をじっくりとみたKM先生にとっては,見過ごせないものがあったようで,的前から巻藁に戻されて,一からのやり直し。

冷静に見て妻が教わったことすべてが出来ているわけではないのは間違いない。
とは言え,それは私を含めて他の生徒さんも同じこと。

おそらく,先日先生に電話で,講習終了後も指導を受けたいというお願いをしたことで,妻の射を取り立てて気にされたのだと思う。
次回が最終回でもあるし。
私の勝手な推察だけれど,どう考えてもそう。

的前から巻藁に下げられるのは異例だし,他の生徒さんも少し動揺。
とはいえ,先生の気持ちは妻にも判るので,久しぶりのしかも一対一でほぼ休みなしの厳しい巻藁稽古に最後まで必死に喰らいつく。

こちらは的前に立っていても気が気じゃなかったけど……

稽古後も先生から心構えを説かれ揃って傾聴。

道場を後にし落ち込んだ様子の妻から「もうやだ」の一言。

運動全般得意とは言えない妻にとっては,仮にも武道はやっぱり敷居が高かったのかと二人無言で歩く。

妻の買い物で画材屋さんへ,無数に並ぶ絵の具の棚の前で長い時間をかけて一色を選ぶ姿に,やはりそちら側の人なんだとつくづく。

最後の稽古をどうするのか,その後私一人で続けるか……

夕食をとりながらさりげなくを装いつつ,弓についての話を振ってみる。
・先生に対しては感謝している。
・あれだけ何度も丁寧に指導してもらっているのに出来ないことが情けなくて自分がいや。
・弓には是非続けたいということではないが,もうやりたくないというわけでもない。
・もともとあなた(私ね)がやりたいと言うから一緒に始めたいと思っただけ。
・そのレベルの興味は変わっていない。